メモアプリの
セキュリティ比較
メモを守るには、暗号化に加えて「誰と共有するか」「消したら戻せるか」「鍵や端末をなくしたらどうするか」の確認が必要です。6つのアプリ・サービスを、日常の操作と復旧の条件で比較します。
選び方:家族の共同リストなら共有相手の編集範囲、個人メモなら端末とノートのロック、仕事の資料なら組織の権限・復旧ルールを先に確認します。E2EEと共同編集を両立するサービスもありますが、共有相手が作ったコピーまで回収できるわけではありません。
最終確認: 。筆者はシンプルメモの開発者です。公式資料に基づく機能と手順の比較であり、他社アプリを監査した結果や安全性の認定ではありません。
6サービスを、共有と復旧の条件で比較
表は横にスクロールできます。キーボードでも右の条件・出典を確認できます。
| アプリ・サービス | 使う場面 | 確認する条件 | 公式資料 |
|---|---|---|---|
| Appleメモ / Apple Notes | 個人メモにはノートのロック。共同編集するメモはロック設定を外す必要がある。 | iCloudメモではADPの設定を確認。共有メモのADPによるE2EEには参加者全員の有効化が必要。独自パスワードのリセットでは古いロック済みメモは開けない。 | ロックと復旧 · 共有条件 · ADP |
| Google Keep | 共同リストやメモを一緒に編集する用途。共同編集者はメモの内容を編集できる。 | 見るだけで渡したい場合は、共同編集への招待と別アプリへコピーを送る操作を区別する。アーカイブは削除ではない。 | 共有の仕様 · アーカイブと削除 |
| Notion | ページ・ゲスト・ワークスペース単位の権限を使って共同作業する用途。 | 複数の経路で付いた権限は広い方が優先される。親ページをPrivateへ移しても、子ページに付与済みの権限は別に確認する。 | 共有と継承権限 |
| OneNote | ノートブックの中で、パスワード保護するセクションを分ける用途。 | セクションのパスワードを忘れるとMicrosoftでも解除できない。ロック中の内容は検索対象外なので、「消えた」と判断する前に状態を確認する。 | セクションの保護 · 見つからないノート |
| CryptPad | E2EEで文書を共同編集する用途。閲覧・編集の権限と、所有者が設定するアクセスリストを使える。 | 共有リンクや受信者を確認する。共有相手には編集履歴も見えるため、過去の内容を渡したくない場合は新しいコピーを作って共有する。所有者のいない文書は後から所有権を管理できず、アカウントのパスワードも管理者はリセットできない。 | 共有と所有者 · 保護の前提 · パスワード紛失 |
| シンプルメモ / Simple Memo | 個人が短い文章を、設定済みの受信箱や連携先に残す用途。共同編集機能はない。 | Outboxと送信履歴は端末内で暗号化するが、メール配信はE2EEではない。宛先、受信箱、連携先の共有・保存状態を確認する。 | 技術説明 |
アカウント・端末・ノートのロックは別々に確認
アカウントに入れる人を確認する
対応するサービスで多要素認証やパスキーを設定し、復旧用メール・電話番号、ログイン中の端末、外部アプリへのアクセス許可を見直します。アプリをFace IDで開く設定だけでは、別端末からのアカウントログインを制限したことにはなりません。
画面のロックと暗号化を区別する
端末のパスコード、アプリ全体のロック、個別ノートの暗号化は対象が異なります。画面を閉じたときの再ロックと、通知・タイトルの表示も確認します。OneNoteではパスワード保護セクションを開いたままにする時間を設定できます。OneNoteのロック設定。
暗号方式やE2EEの対象範囲は、別記事の10アプリの暗号化比較にまとめています。AESの鍵長だけで誤共有や復旧まで解決することはできません。
誤共有を防ぐために、送信前に確認すること
- 「共同編集」と「コピーを送る」を選び分ける。共同編集では以後の変更も同じ文書に反映されます。PDFやメールで渡すコピーは別の保存物になり、元の共有を止めても回収できるとは限りません。
- 相手と権限を確認する。閲覧だけで足りるなら編集権限を付けず、必要な人だけに共有します。Keepの共同編集は相手も編集できる方式なので、見るだけの共有とは区別します。
- 親・子ページや公開リンクも見る。Notionなどでは個人への設定だけでなく、ワークスペースや親ページからの権限も影響します。非公開へ移した親ページだけを見て、子ページもすべて閉じたと判断しないでください。
- ダミーの内容で見え方を確かめる。公開リンクはログインしていないブラウザー、限定共有は許可された受信者側で、見える範囲と編集できる範囲を確認します。自分の管理者画面で開けることだけでは確認になりません。
消したメモ・鍵の紛失・機種変更への備え
削除とアーカイブを区別する
Google Keepは削除後7日以内なら復元できます。iCloudメモは「最近削除した項目」にある、削除後30日以内のメモが対象です。完全削除したものを必ず戻せるという意味ではありません。まずアカウントと保存先が合っているか、アーカイブやロック中のセクションにないかを確認します。Keepの手順、iCloudメモの手順。
書き出しは「元どおりに戻せる」と同じではない
Notionはプランに応じた編集履歴の復元とエクスポートを案内していますが、書き出したデータを再アップロードするだけでワークスペースを即座に再現できるわけではありません。添付・階層・リンクが必要な形で残るか、少量のサンプルで確認します。Notionのバックアップ説明、書き出し手順。
旧端末を消す前に、新端末で1件開く
同期を完了し、新しい端末で本文と添付を開けるか確認します。暗号化パスワードや復旧手段も用意し、書き出したコピーは保存先の権限と暗号化を確認してください。唯一の鍵やデータが旧端末に残っている状態で、その端末を初期化しないでください。
セキュリティと共同編集を両立できるメモソフトは?
CryptPadは、E2EEで文書を共同編集する選択肢です。閲覧・編集権限、所有者、アクセスリストを確認して使います。編集履歴も共有されるため、過去の内容を隠す必要があれば新しいコピーを作ってから共有します。ただし、提供元のWebアプリや端末を信頼する前提、共有リンクの扱い、許可した相手によるコピーは残ります。CryptPadの保護の前提、履歴の共有に関するFAQと共有・アクセスの説明を確認してください。
Notionの権限管理、Appleメモの共有、OneNoteのセクション保護はそれぞれ別の仕組みです。組織で使う場合は、必要な共同編集、参加者の端末、管理者による復旧、外部共有ルールが合うかで選びます。「E2EEと共同編集は両立しない」「どの用途でも一つの製品が最も安全」とは言い切れません。
自分宛メモでも、宛先と到着先を確認する
よくある質問
メモアプリの安全性は暗号化だけで比較できますか?
いいえ。共有相手と権限、アカウントへのログイン、端末やノートのロック、復旧方法、書き出したコピーも確認します。暗号方式の名前だけでは、誤共有やデータ紛失を防げるとは判断できません。
E2EEとリアルタイム共同編集を両立するサービスはありますか?
CryptPadはE2EEで文書を共同編集できます。閲覧・編集権限、所有者、共有リンク、アクセスリストを確認してください。E2EEでも、許可した相手が作ったコピーまで回収できるわけではありません。
Appleメモのロックと共同編集は同時に使えますか?
ロック設定のあるメモは共同編集できないため、共有する前にメニューからロック設定自体を削除します。Face IDで一時的に開くだけでは同じではありません。iCloudの高度なデータ保護と共有条件は別に確認します。
Notionで閲覧だけにした人が編集できるのはなぜですか?
ほかの経路で広い権限が付いている可能性があります。Notionは適用される権限のうち広い方を優先するため、ワークスペース、親ページ、グループなどからのアクセスも確認します。
パスワードをリセットすれば暗号化したメモを戻せますか?
製品や鍵の管理方式によります。Appleメモの独自パスワードをリセットしても古いロック済みメモは開けません。OneNoteのセクションパスワードはMicrosoftでも解除できません。利用中の製品の復旧手段を先に確認してください。
機種変更の前に最低限何を確認すべきですか?
同期が完了し、新端末で本文と添付を開けること、必要な鍵や復旧方法が手元にあることを確認します。書き出したデータの中身と保護状態も確かめ、唯一のデータや鍵が残る旧端末を先に消去しないでください。